相続人の中に既に不動産をもらっている人や、過去に資金援助を受けていた人が、被相続人からの相続時に「他の相続人と同じように分配されると不公平感がある!」という方が現れることも起こりえます。
そのような場合に用いられるのが、特別受益という考え方です。
特別受益とは、ある相続人が亡くなった人から特別に得ていた利益です。
相続発生前に特別受益を受けていた人を特別受益者と言います。
他の相続人は、相続時に特別受益も相続財産に含めるように主張できるのです。
この主張により、生前に財産を受け取った財産を考慮した相続を実現できます。
こちらのページでは、「特別受益」とは何かを説明していきます。
1.特別受益
2.寄与分
3.特別の寄与
特別受益とは、ある相続人が亡くなった人から特別に得ていた利益です。
上記のイラストを例に父親が死亡して子供たちの3人が相続するケースを考えてみましょう。
この場合、民法の定める法定相続分は子どもたち3人がそれぞれ3分の1ずつとなります。しかし、父親は生前、長男に不動産を贈与していたとしたらどうなるでしょう?
不動産を無視して兄弟3人に3分の1ずつにとすると、次男や三男にとって不公平となります。
そこで、不公平感を無くすために、不動産をもらった分、長男の遺産取得分を少なくするのが特別受益の持ち戻し計算の考え方になります。
寄与分とは、相続人や親族の中に、亡くなった方の財産の維持又は増加について特別な貢献をした人がいる場合、他の相続人との公平を図るために、その増加をさせた相続人に対して、相続分以上の財産を取得させる制度です。
親の事業に従事
親を自宅で介護
寄与分を受ける資格がある者について、民法904条の2第1項に、
原則として「相続人」と定められています。
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
この民法に則ると、例えば、内縁の妻は相続権を持っていないので、寄与分を主張することはできません。
また、長男の嫁が被相続人の看護にとても貢献したとしても、相続人ではないので、原則寄与分は認められません。
最近まで、寄与分権者となり得るのは相続人に限定されていました。
しかし、相続権がない場合でも、被相続人の療養看護に貢献するケースは多く(息子の嫁など、がよくあるケースです。)、そのような場合に、一切金銭を請求できないとすると、公平の観点に反するような結果となることがありました。
このような問題に対応するため、相続人以外の被相続人の親族に対して、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度である特別の寄与が創設されました。
2019年7月1日から施行されています。
この新法によって、被相続人の親族についても、特別寄与料の支払いを請求できることとなっています。
この特別の寄与の被相続人の親族の範囲ですが、
と定められており、具体的には、配偶者の連れ子、甥、姪、甥の子や孫、姪の子や孫、従兄弟、はとこ、なども親族となります。
寄与分については、該当するのかどうか、また、計算方法も複雑であり、相続に関する専門知識がないと算定が難しい場合があります。
専門家の適切なサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。
寄与分についてのご不明な点は、前橋市・けやき相続までお気軽にご相談下さい。
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